交通事故被害者が自己破産した場合、損害賠償請求する権利はどうなる?

交通事故被害者が自己破産した場合、損害賠償請求する権利はどうなる?

交通事故の被害者が自己破産するケースもときどきあります。

その場合,加害者に対する損害賠償請求権はどうなるのでしょうか。

破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産は破産財団に属します。

破産財団に属する,というのは,簡単に言えば,破産者がその権利を失うとういことです。

破産者が現に有している財産だけでなく,破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権も,破産財団に属します。

したがって,被害者は自己破産すると損害賠償請求権を失ってしまうことになりそうです。

しかし,破産財団の範囲についての定めは,絶対のものではありません。

自由財産拡張が認められる可能性も?

破産法は,同時に,

「破産者の生活の状況,破産手続開始の時において破産者が有していた財産の種類及び額,破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して,破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる」

と定めています。

これを自由財産の拡張といいます。

損害賠償請求権のうちでも,治療費は,既に加害者の保険から支払われており問題にならないケースが多いと思いますが,もしも未払いの治療費がある場合,被害者が健康を回復するために必要な費用ですから,自由財産の拡張が認められる可能性は高いと思います。

また,慰謝料は,その行使が一身専属性を有する差押禁止財産ですので,破産法上そもそも破産財団になりません。もっとも,これを行使した結果,示談が成立するなどして解決すれば,差押可能な債権となり,破産財団に帰属してしまいます。

しかし,その場合も,交通事故被害に遭ったことによる怪我等の精神的苦痛に対して支払われるという慰謝料の性質からすれば,相当額まで自由財産の拡張が認められる可能性が高いと思います。

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