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飲んだら乗るなー薬の服用と交通事故ー

飲酒,服薬後の運転はダメ

忘年会シーズンが近づいてきました。どんなに楽しくても,お酒を飲んで運転してはいけないのは当然です。

また,「飲んだら乗るな」は,お酒だけでなく,薬にも当てはまります

医師から処方された薬であっても,意識を失ったり,突然眠気に襲われたりする副作用があり,交通事故を起こすおそれのあるものは,服用後に運転しないよう,医師や薬剤師から注意喚起されていると思います。

飲酒・服薬運転で被害にあった場合の賠償保険

飲酒や服薬をした人が車を運転して事故を起こしても,被害者に対する賠償の関係では,自賠責保険も任意保険(対人・対物賠償保険)も問題なく適用されます。

つまり,被害者は加害者の保険から賠償金を払ってもらえます。

人身傷害保険等の免責条項

それでは,加害者自身に対する保険金はどうでしょうか。

人身傷害保険や搭乗者傷害保険,車両保険に入っていると,加害者は自分の起こした事故により自分に生じた怪我や車両の損害について保険金を受け取ることができます。

しかし,これらの保険には通常,飲酒や無免許,薬物の服用などがあった場合は,保険会社は免責されるという条項が設けられているため,加害者は保険金を払ってもらえない可能性があります。

処方薬と免責条項

薬物免責条項は,「麻薬,大麻,あへん,覚せい剤,シンナー等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で運転している場合」などと定められています。

免責条項に明記されている麻薬などの禁止薬物の場合は仕方ないとしても,医師から処方してもらった薬の場合まで免責されてしまうのでしょうか。

裁判例の中には,処方薬は禁止薬物ではないということを重視して保険会社の免責を認めなかったものもあります。

しかし,近時の裁判例には,免責条項における「麻薬」等は例示にすぎず,医師から処方された睡眠導入剤及び鎮痛剤もこれに当たり得ることを認め,保険会社の免責を認めたものもあります(名古屋高裁平成25年7月25日判決)。

このように,処方薬が免責条項の対象になるかについて裁判例の判断は割れており,また,仮に対象となるとしても,その影響により「正常な運転ができないおそれがある状態」だったと認められない限り,保険会社は免責されませんが,少なくとも,事故を起こしたときに免責されてしまう可能性はあると言えます。



飲酒と免責条項

ちなみに,飲酒運転の場合も,いわゆる酒酔い免責条項(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で運転している場合に免責)の場合は,「正常な運転ができないおそれがある状態」だったと認められない限り,保険会社は免責されません。

しかし,いわゆる酒気帯び免責条項(酒気帯び運転またはこれに相当する応対で運転した場合に免責)の場合は,たとえ「正常な運転ができないおそれがある状態」でなかったとしても,酒気を帯びていれば免責されると解されます。

最近では,飲酒運転に対する社会的非難が強まっていることから,酒気帯び免責条項を設ける約款が多いと思います。



薬を飲んでも乗るな

もしかすると,薬の場合,お酒と比べると,飲んだら運転していけないという意識が希薄になりがちかもしれません。

しかし,副作用により事故を起こすおそれがあると注意されている薬は,お酒と変わりありません。前述のとおり,人身傷害保険等の補償を受けることができないおそれがありますし,刑事上も,道路交通法違反や自動車過失運転致死傷で処罰される可能性があります。

薬についても,飲んだら乗るなを徹底しましょう。

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