病気で意識を失った人から受けた交通事故被害と損害賠償請求権

運転中に意識を失って・・・

運転者がてんかん発作などの持病により意識を失ったまま通行人等を死傷させる事故が度々報道されています。

このようなケースでは,刑事上の責任も問題になりますが,民事の損害賠償責任はどうなるのでしょうか。

加害者が心神喪失の場合

交通事故を起こした人は,民法709条により,損害賠償責任を負うのが原則です。

しかし,一方で,民法713条には,「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は,その賠償の責任を負わない。」との規定があります。

「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態」のことを,「心神喪失」といいます。

持病により意識を失っていた運転者は,心神喪失者として,責任を負わない可能性があります。

故意または過失の場合は?

もっとも,この民法713条には,「故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。」との但し書きがあります。

発作を抑えるための服薬を怠ったなど,健康管理に問題があれば,民法713条本文は適用されず,原則に戻って,運転者は民法709条による損害賠償責任を負います。

自賠法3条

また,特に人身損害については,民法709条の責任とは別に,自動車損害賠償保障法(自賠法)3条が,「自己のために自動車を運行の用に供する者」の損害賠償責任を定めています。この「自己のために自動車を運行の用に供する者」を「運行供用者」といいます。自動車の所有者が典型例です。

運転者も,自分の車を運転していたのであれば,運行供用者に当たります。また,会社の車を運転していたのであれば,会社も運転供用者に当たります。

この自賠法3条には,「自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと」等を証明したときは免責されるとの但し書きがあります。

しかし,裁判例は,運転者の心身喪失は自賠法3条の免責事由には当たらないとか,民法713条は自賠法3条には適用されないなどと解釈して,たとえ運転者が心身喪失だったとしても,運行供用者の責任は認める傾向にあります。

賠償を得られる可能性は高い

民法713条のような規定があると,冒頭述べたようなケースでは,被害者は加害者の責任無能力により賠償を受けられないのではないかと心配してしまいます。

しかし,ケースバイケースではありますが,実際は,運転者または運行供用者の責任は認められる場合が多いと言えます。

そうなれば,少なくとも人身損害については,その自賠責保険や任意保険から賠償を受けることが可能になります。

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